なぜブルーマウンテンはコーヒーの王様のような扱いなのか?
突然ですが、僕は美味しいブルーマウンテンを飲んだことがありません。
そして買い付けしたこともありません。
某コーヒー大手さんのサイトでは、ブルーマウンテンのことをこう説明しています。
「バランスが良く、コーヒーの良さの全てをあわせ持っている」
パーフェクトなコーヒーだというこの説明を読んで、うさん臭さを感じる方は少しひねくれているかもしれません。
ひねくれているかもしれない僕は、この非の打ち所がありませんというブルーマウンテンを、美味しいと感じたことが一度もありません。
そして何よりも、ブルーマウンテンの裏にあるストーリーがあまり好きではありません。
冒頭から皮肉たっぷりでスタートしてしまいました。
「良い物は良い、良くない物は良くない」
この心構えで僕は、色んな国のコーヒーを色眼鏡で選ばず、良いものは良いと販売してきました。
ネームバリューは、コーヒーの味とは一切関係がないと断言できます。
「ブルマンって実際にどうなの?」
お客さんからよく聞かれるこの質問に、「良い物は良い、良くない物は良くない」
このスタンスで、しっかり調べてみてわかったこと、色々思うことの本音を書いていきたいと思います。
なぜこんなに高価なの?みんなの1番の疑問には少し説明が必要
かれこれ6~7年前、ブル−マウンテンコーヒーのHPを翻訳しながら見てみたり、本を探したりして調べました。
自分自身の知識を改めてアップデートすべく、今回改めて調べ直しました。
前置きとして、冒頭の地図の右あたり、ピンクのエリアをブルーマウンテンエリアと呼び、ここで栽培、収穫されるコーヒーをブルーマウンテンとして認めています。
ブルーマウンテンは、ジャマイカで栽培されているということだけ知っておいて下さい。
昔、日本政府が、ジャマイカ支援として行っていた社会基盤の整備の中に、いわゆるインフラ整備というものがありました。
大きな道路、農道、水道施設、学校なんかを作るお手伝いをしていた中に、「コーヒー栽培の能力向上」もありました。
ジャマイカが、国としてコーヒーの輸出を増やして、外国の人達からのお金を入るように頑張っていこう。
それを日本が国として支援している。こういう取り組みをしていました。
ここまでは、とても素晴らしい話です。
ただし、このジャマイカ支援は「お金を貸してあげます。支援もするので自立できるまでがんばってくださいね」というタイプの支援でした。
将来、ジャマイカが返済することが前提になっています。
これを有償資金協力といって、「円借款(えんしゃっかん)」と呼ばれています。
ジャマイカの「サポートしてくれて日本ありがとう」という関係強化ができた背景に後ろ盾にして、日本と大手日本企業が手を組んで、ジャマイカのコーヒーを独占的に輸入をすることにしたわけです。
当然、効率はものすごく良いです。
ジャマイカは、コーヒーの輸出を増やしてお金を稼いで日本に借金の返済をする。
日本+大手企業は、支援した先から優先的にコーヒーを手に入れられる。
ほぼブルーマウンテンを独占することが可能になりました。そうなるとどういうことが起こるか?
コーヒー豆の価格決定権を握り、独占的に価格決定できる
そうしてブルーマウンテンの値段を日本国内で高止まりさせることで、高級なコーヒー豆を作り上げました。
そして大手企業は大儲けしましたとさ。という流れです。
それからブランドコーヒー豆として、認知度を上げるためにこんなこともしました。
「ブルーマウンテンは、英国王室御用達」
しかしジャマイカ産のコーヒーが、イギリス王室で扱われたことは一度もない。
じゃあ なんでこんなウソが出てきたのか?
「なんで?って、ジャマイカがイギリスの植民地だったから」という、とんでもない理由。
「植民地がコーヒー栽培してるだから、飲んでたんじゃないの?」という無茶苦茶な理屈からのようです。
これも結構有名な話です。
当時の人達ってやりたい放題ですね。
ただの「ウソ」というか「詐欺」じゃないの??と僕は思いました。
今もテレビCMを流して、高級感をアピールしています。
結局真剣にコーヒー栽培をして、美味しいコーヒーを作ればいいじゃないか?
今は英国王室御用達とは謳ってないんだしという感じで、うやむやになっている感は否めません。
ここまで言うと怒られそうですが。。。
ブルーマウンテンの海外での評価は?
自身もバリスタをしているアメリカ人の友人に、ブルーマウンテンってアメリカではどんな評価?と聞いたことがあります。
「Blue mountain?カナダのスキーリゾートのこと?」って言ってました。
アメリカではジャマイカ産のコーヒーは、メジャーではないようです。
ほぼ独占的に日本に輸入されているのだから、知らないのも当然かもしれません。
興味のある方は、米Yahooのサイトで、Blue mountainと検索してみてください。
オーストラリアやカナダのブルーマウンテンがヒットします。
偽ブランド戦略がおかしな流れを作る
そしてこのブルーマウンテンが、商品名にマウンテンをつけるとイメージアップになるんじゃないかというおかしな流れを作ります。
クリスタルマウンテン、エメラルドマウンテン、最近はトロピカルマウンテンというのもあります。
なんとかマウンテンって名前のコーヒー豆は、おいしそうなイメージが湧くということなんでしょうか。
標高が高いエリアで栽培されたコーヒー豆は、高品質というアピールも根っこの部分にあるのかもしれません。
僕は、このニセブランド戦略によって「日本人が日本人にダマされている」という構図ができていて、そのことにとても嫌悪感があります。
それもあってブルーマウンテンは仕入れていません。
今後も仕入れることはないと思います。
もちろん一番の理由は、おいしいと感じないからですが。
ブルーマウンテンブレンドとか、もう意味不明だと思います。
まとめ
ブルーマウンテンは、“ブランド戦略”で完全に高級感を作り出しています。
まるでコーヒーの王様、実際にそう明記するサイトもたくさんあります。
コーヒー豆は世界中で作られていて、知名度·認知度はそれほどでもないコーヒーだけど、本当に美味しいコーヒーがたくさんあります。
僕は、これからもコーヒー豆の味にスポットライトを当てていきます。
ブルーマウンテンが、偽ブランド戦略をやめて、値段が適正になって、そのコーヒーの味わいが素晴らしくて、お客さんに飲んでもらいたいと思えたら仕入れると思います。
ですが、きっと“ ブランド戦略”をやめないでしょうから、きっとこれからも縁はないとおもいます。
「周りに流されず、自身の感覚を大切にする」
コーヒーを楽しむ、味わい尽くすには、これだけで十分ではないかと心から思います。
日本人は、ブランドをありがたがるんだねって後ろ指さされたくないですもんね。
嗜好品ですから、自分の感覚を大切にしてコーヒーを選んで楽しむ。
あなたはどう思いますか?これでもまだブルーマウンテンがいいですか?