スペシャルティコーヒーのおいしいは誰を基準に作られている?

スペシャルティコーヒーは、シンプルに説明すると「飲んでおいしい」コーヒーだと思います。
でもおいしいの基準は人それぞれ。
特に嗜好品の代表とされるコーヒーの“おいしい”は、「奥が深い」とお客さんは少し難しい顔をします。
今回は、飲んでおいしいというスペシャルティコーヒーの“おいしさ”が、お客さんにどのように提案されているのか?
僕が、お客さんにどう感じてもらいたいと味作りをしているのかを、お話していきたいと思います。
「香ばしい」だけではないコーヒーの香り

香りに特に個性があるのが、スペシャルティコーヒーだと言っても過言ではありません。
個人的な経験で言うと、桃やメロンといったフルーツを連想させる香りのするコーヒーに出会いました。
有名なもので言うと、ブルーベリーのような風味を感じるコーヒーもあります。
レモンや紅茶の香りを一度に感じるコーヒーに出会ったことがあり、あれには本当にびっくりしました。
香りに関しては、官能的な部分であり、食生活が人それぞれ異なることもあるので、感じ方に違いがハッキリ出ます。
ですが、その点を差し引いても、個性的な香りを自然と感じ取れるのがスペシャルティコーヒーです。
香りに個性、特徴があるコーヒー豆ほど、品質を客観的に判断することが求めらます。
そのためにスペシャルティコーヒーを評価するためのスコアシートがあります。
参考記事 – 数字で見るとよく分かるスペシャルティーコーヒー
香りが際立つ浅煎りの状態で提案されている事が多い

浅煎りの状態のコーヒー豆は、香りがとても際立っています。
良い意味でコーヒーらしからぬ香りを体感できるのも、浅煎りの状態のコーヒーではないでしょうか。
そもそも品質が良くないコーヒーは、浅煎りの状態で飲むには雑味や渋みがありすぎて、後味が悪い傾向があります。
それに品質の良くないコーヒーは、どんなに上手に焙煎しても香りはよくありません。というわけで、深煎りの焙煎方法を採用して苦味の強いコーヒーに仕上げてしまえば、雑味や渋みを隠すことができる。
こんなコーヒーが市場にはたくさん流通しています。
話を戻すと、高品質のコーヒー豆であるスペシャルティコーヒーは、味わいを邪魔する雑味がほとんどない。
そのため浅煎りで香りを存分に楽しむ。
このような流れができていったのではないかと思います。
そういうコーヒーは、味もわかりやすい。だから「飲んでおいしい」
いつもお客さんにはそう說明させてもらっています。
しかし、この“おいしさ”の基準は海外で決められたもの

1982年にスペシャルティコーヒーとはなんなのか。
なにをもってスペシャルとするのかの定義が決められました。
スコアシートで80点以上のコーヒー豆がスペシャルティだと、客観的に判断する基準もできました。
でも僕には流行りの浅煎りのスペシャルティコーヒーはすっぱかったんです。
スペシャルティーコーヒーの香りがとても素晴らしいのには、もちろん感動しました。
その風味をお客さんにも感じてもらいたいともちろん思います。
それでも「この状態(浅煎り)で飲むのがおいしいよね」という海外で流行っている基準にはどうしてもフィットできませんでした。
よい酸味と悪い酸味があると言われたことありませんか?

よく使われるスペシャルティコーヒーの宣伝文句にこういうものがあります。
「良質のコーヒーの酸味は、良い酸味」
すっぱいんじゃなくて、スッキリ後味がいいと感じませんか?とよく商品説明を受けます。
もちろん理屈はわかります。
「コーヒーメーカーで何時間も保温されていたコーヒーは、酸化してすっぱくなっている。
あれとは違うのわかりませんか?」
これも言われていることはわかります。
でもやっぱり酸味の良し悪しを判断するのってすごく難しいです。
どのレベルの酸味を、すっぱいじゃなくてスッキリと感じるかも個人差があると思います。
以前スペシャルティコーヒーを、すっぱくて好きじゃないとハッキリおっしゃったお客さんがいました。
あなたの好みの味わいのコーヒーが「飲んでおいしい」コーヒーでいいんです。
それでいいと思います。
海外基準じゃない“おいしいスペシャルティコーヒー”の提案ができるはず
あくまでも僕個人の意見ですが、酸味が強いとどうしても甘みが隠れてしまうと思います。
そして焙煎が進むと香ばしい香りも強くなってくるので、フルーツのような繊細な風味は、隠れてしまう。
けれどコーヒー豆のカラメル化が進むと同時に、酸味がどんどん弱くなりコーヒー豆に含まれている糖分、甘みが感じられるようになってくる。
僕はこのポイント(図の緑の囲み部分)のスペシャルティコーヒーを提案したいんです。日本のお客さんに。
海外の基準(赤の囲みの部分)でおいしいと感じる人はそれでいいと思います。それでこそ嗜好品です。
あなたの“おいしい”を提案している自家焙煎店になりたい
最近では海外のコーヒー焙煎店の出店も目立ち、日本にいながら本場のスペシャルティコーヒーを飲むことができるようになってきました。
そしてそれにならった浅煎りのコーヒーの提案をするコーヒー店がどんどん増えています。しかしその本場の提案を、おいしいと感じるかどうかは、お客さんであるあなたが決めることです。
「周りの人はどうかわからないけど、自分は好き」こういう意見が、今の時代には大切なのではと思います。
僕も全員においしいと言ってもらえるコーヒー豆を用意することはできませんし、考えたこともありません。
浅煎りでスペシャルティコーヒーの提案もしていません。
流行りの乗っかりたくないという、ただの天邪鬼な性格のせいなのかなと思うこともありました。
でも流行りのスタイルを実際に試してみて、やっぱり自分が美味しいと思えないコーヒー豆を、お客さんには提案できないなと思います。
まとめ
スペシャルティコーヒーの概念や、本質の部分、そして味わいの提案について3つの記事にまとめてみました。
まとめて読んで頂くと、スペシャルティコーヒーのことを深く理解していただけると思います。
コーヒーの文化は、まだまだこれから熟成されていくものだと思います。
もしかしたら、今とは全く違った提案が受け入れられて、スタンダードになる可能性もあります。
いろんなアプローチ、考え方にチャレンジすることで、「飲んでおいしい」コーヒーの提案ができるようになりたいと思っています。
- 流行りの提案をしているスペシャルティコーヒー
- 日本人の好みに合わせた提案をしているスペシャルティコーヒー
両方試していただいて、あなたの“おいしい”を感じるスペシャルティコーヒーが見つかると嬉しいです。
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