コーヒー豆を−50度まで冷やす!?
2017年にアメリカで行われたバリスタの技術を競う大会で、コーヒー豆をドライアイスと液体窒素で−50度まで冷やすという荒技?と言いますか、プレゼンを行った人がいます。
プレゼンを行った方は、奇をてらったわけではなく、ごく真面目に品質の向上を考えて行ったものです。
「ローストしたコーヒーを凍らせるのはダメ」
この意見はもう神話なのかもしれないですね。
そして、よりおいしいコーヒーを提供するために、コーヒーを冷凍するのはどうだろう?という考え方がアメリカで広まりつつあるようです。
これからは冷凍なのか?
実際に2017年に「Re;co」というイベントで、長期間冷凍保存されていたコーヒー豆が振る舞われました。
どのくらい長期間かというと、2012年と2013年に焙煎し、その後に冷凍されたコーヒー豆だとのこと。(1)
なんと5年です!
話によると、冷凍した日と同じくらい、新鮮でおいしい!と感じたそうです。
5~6年前の記憶がどれほど正確なのか?という疑問の余地はありますが、約5年冷凍されていたコーヒー豆が、おいしいということが確認できたということはすごい収穫ですよね。
それにしてもよく待てましたよね(驚)
実験をしていた人たちも、半年や1年とか定期的にチェックしていたかもしれませんが、僕なら散々ソワソワした後、結局我慢できずに飲んでしまいそうですが。
(冷凍して)5年もののコーヒーの話題は、昨年のイベントでの話ですが
冷凍するという取り組み自体は、2000年頃から実験が行われていたそうで、元々はコーヒーの生産技術の向上の為に試していたそうです。
アメリカとペルー間でのコーヒーのやり取りなのですが、何百というサンプルをやり取りするため輸送の間に劣化が生じてしまう。
では真空パックにしてみよう!
それでも鮮度の劣化が緩やかになる程度で、問題の解決になっていない。
じゃあ 真空パックにした状態で冷凍してみよう。
これがきっかけになり、焙煎後のコーヒー豆を冷凍するという発想に至ったようです。
リベルタコーヒーのような小規模のコーヒー焙煎店には、好都合なのでは?という考え方もあります。
たくさん生豆を買い付けすると、保管している間に劣化が進んでしまう。
(生豆を冷やしておいたり、冷凍しておくのが保存には良いと言う考え方は割と一般的です)
というわけで小分けにしてから、真空パックで冷凍保存することで品質維持の問題がクリアになるというものです。
ここでもやはり真空パックにするという工程が必要になります。
生豆にも水分が含まれていて、大気よりも冷たい場所に置かれることにより水分が凝縮します。
これは焙煎後のコーヒーにももちろん言えることです。
水分の出入りがあるために、冷たすぎる環境にコーヒー豆を置かないでほしい。
これが今の大多数のコーヒー豆屋の考え方なのではと思います。
リベルタコーヒーでは、「ジップロックみたいな口を閉じられる袋に入れて保存してもらえれば、常温でいいと思います」と案内しています。
しかし鮮度の維持のために真空パックにすることや、今回の冷凍させるという試みももちろんコストがかかります。
そのコストはもちろんお客さんに買って頂くコーヒーに上積みされていくわけなので、この過熱感というか、神経質になりすぎかもしれないと疑問を持つ意見も聞いたことがあります。
「こだわるのはいいけど、ほどほどにして、もう少しコーヒーをリーズナブルに提供してよ」という声ですね。
あくまでも品質の向上が目的のこの取組
「真空パックにした状態で冷凍する」というこのプロセスは、ハードルが高いようにも思います。
でも真空包装機は、テレビショッピングで時々見かけるくらい安価になってきているのも事実で、使い方も簡単。
スムーズに低コストで真空状態にできる発明が起これば、すごいスピードでコーヒー豆を冷凍管理するという流れが起こりそうですよね。
お客さんのほとんどは、鮮度の維持や管理に気を払ってくれますし、良い状態がキープできるとなれば選択する方も増えると思います。
日本は特に、四季もあるし多湿ですからね。
でもたくさん買って、小分けで冷凍保存しておけるせいで、年に1~2度しかお会い出来なくなったりするのは寂しいですね(笑)
コーヒー豆の敵は、酸化、劣化と考えられていますから、冷凍して美味しく提供できるメソッドが洗練されていけば、 一杯ずつ真空包装されたコーヒーが、注文のたびに開封されて提供されるようになるかもしれません。(3)
酸化、劣化していないおいしいコーヒーが飲めるのは、お客さんには大きなメリットです。
海外で、「これからのコーヒー豆は、冷凍保存がスタンダードだ!」となった時に、長年コーヒーを冷凍するなんてダメダメ!と言っていた、僕を含めたコーヒー豆屋は(多くのコーヒー豆屋さんがそう案内しているのではないかと···)どうしていくのか対応が大きく分かれそうですね。
僕は冷凍保存のメソッドを試してみて良ければ、すぐ考えを改めたいと思います。
海外の人たちは、そのあたりの切り替えがとても柔軟な印象がありますが、良いものは良いという精神は、ぜひとも見習いたいです。
まとめ
今回の記事は、いかがでしたか?
真空冷凍したコーヒーを、数カ月後に飲んでみたいという方いたりしますでしょうか?
もし興味がありましたら、コメントいただけると幸いです。
興味のある方が多ければ、ちょっと企画してみたいと思います!
参考サイト (1)(2) George Howell Unveils Vintage Coffees (3) Cryogenics & the Benefits of Freezing Green and Roasted Coffee | Interview with Christopher H. Hendon